”耐震等級3”の次に来る!?”表層地盤増幅率”と本当によいお家とは
2020.10.31

 

私のクルマは中古車で購入したのですが初年度登録は2006年式なので現在14歳。私が乗ってからちょうど10年になります。その前はやはり中古車で3年落ちで買った1988年式を2006年まで乗っていたので18年乗っていたことになります。先代はやはり当時の技術では歳とともに内装の樹脂部品の劣化が激しく、晩年はダッシュボードからハンドル、シフトノブに至るまでひび割れてブッチャーの額(この例えが分かる人は同年代ですね)のようになって室内は悲惨なモノでした。それでもクルマの基本性能の走る・曲がる・止まるに関しては特に困らなかった(エアコンは途中で壊れて暑かったですが。。)ので海外単身赴任で手放すまではずっと乗ってました。

あまりに古いクルマに乗っているとおもしろいものでスタンドなどで知らない人に声をかけられます。「おー○○年式の〇〇ですね~。いいですよね。」などと。おそらくマニアだと思われるのでしょう、私の場合は一度買うとよほどの不便を感じない限りは買い替えないだけなので返事に困ってしまいます。このように免許を取って以来、自分で乗るクルマは走行距離15万キロ以下で買い替えたことがないので今のクルマもそこまでは走って欲しいなと思う今日この頃なのですが写真の通り外装の樹脂部品がえらいことになってきました。

思い起こせば先代はこの辺は金属製だったような。。。ディーラーの人に話すと「最近は生分解性の環境に優しい樹脂を使うので紫外線劣化が早く進むんですよ」と釣りのワームと同じようなことを言われました。確かにガラスのヘッドランプは安全性重視で樹脂になって黄ばんでいますね。時代による設計思想の違いとは言えさすがにこれではラッシャー木村(この例えが分かる人は同年代のプロレス通ですね)状態。高速でフロントガラスが外れたり雨漏りするのでは!?と心配になったので思い切って交換しました。

オイル交換と合わせて12000円、それくらいで済むならもっと早くやっておけばよかったと思いました。お家もクルマも(クルマに関しては私の場合説得力が無いですが)メンテナンスは実害が出る前に計画的にやりましょう!ということで今週もブログスタート。

最近お家を検討されるお客様とお話をしていると「耐震等級3」「全館空調」「大空間」などという言葉が良く出てきます。私達工務店の者とすると「お、次が来たな」という感じです。家づくりにもトレンドというのがあって、そのほとんどは大手ハウスメーカー発信で集合展示場などにモデルハウスを見に行くとセールスマンから模型や動画を使ってじっくりと何度も、さも最重要項目のように説明されるのでお客様は「へーそうなんだ」から始まって展示場を出るころには「家づくりは〇〇が一番大事で△△じゃなきゃだめなんだ(ー_ー)!!」となっている訳です。これはセールス用語(行動心理学)で言うところのいわゆる”フレーミングがかかった”状態になっているのです。

その勢いで「でも一応ホームページのおしゃれそうな工務店にも行ってみるか」とやってきたときには「こちらの家の〇〇はどうなってますか?△△じゃないんですか?」となる訳です。

この〇〇はちょっと前だと”高気密・高断熱”それから”Q値・C値”次にZEHが出てきて”UA値”になりました。しかしこれにまともに対抗しようとして1棟1棟異なる注文住宅を数値として証明するには測定やら証明書の発行にお金がかかるので小さい工務店にとっては費用面で厳しくなります。でもこの辺はもともと大手ハウスメーカーも工務店も実際に家を作ってる大工さんも使ってる部材も一緒なので最終的に差別化ができなくなってしまった訳です。

すると大手は次にお金と体力が無いと難しい”アフターサービス”にフレーミングネタを変えて来ました。”素敵なお家を作る工務店さんで価格も良心的ですけどアフターサービスはどうなってますか??”と。”少ない人数じゃ回らないでしょ。社長さんもご高齢のようだしずっとは面倒見てくれないですよね。これから永く住むお家で心配じゃないですか?”と。

これを聞いたお客さんはこれはいかん!と青ざめて工務店に戻ってアフターのことをたずねるとしどろもどろで「なんとかします」とΣ(゚д゚lll)。さらに追い打ちをかけるように「XXは60年保証!」というCMを見ていた親御さんから「そんな工務店で大丈夫なのかい?」と言われて、理想の家づくりよりも周囲を説得するのに疲れて渋々無難なハウスメーカーに決めましたという方、実際にいらっしゃいます。 こうなると住宅業界も近くに大型ショッピングモールが出来て地元商店街がシャッター商店街になってしまったのと同じ話になってしまいます。当社の場合はこのアフター問題にはいち早く手を打って、全ての新築住宅に長期サポート体制を完備しています。

さてこの辺まではまだ家の話なのでいいとして、地盤はちゃんと地耐力調査して地盤改良するれば安心だ(地盤保証が出れば瑕疵担保保険には入れるので)し。。。だったのが最近になって、いやいやさらに深いとこの地盤の影響大ですよという新ワード”表層地盤増幅率(揺れやすさ)”というのが出てきました。これは地表近くに堆積した地層の地震時の揺れの大きさを数値化したもので数メートル調査の地耐力(固さ)とはスケールが違うのです。こうなると話は厄介です。地震に強い家と強固な地盤そのものが地中深くから揺らされる訳ですから家がどうのこうのよりも「安全な地盤の地域に引っ越しなさいよ」みたいな話になります。

そんなこと言われても仕事も学校もあるしお金はかかるしで簡単には引っ越せない方がほとんど。そこに目を付けた制震装置・制震器具メーカーが盛んに営業をかけています(営業ツールでよく使われるのが「NHKスペシャル」の動画)。これは世論を動かすロビー活動みたいなもので誰かが言い出すといずれ各ハウスメーカーも無視できなくなって”制震性能”って言いだすと思います。すると心配性で保険が大好きな日本人はこれに飛びつくでしょう(資金に余裕がある場合に限りますが)。あるいは地域によって家を建てるコストが変わり、土地の資産価値も変わってくるでしょう。これってお客様にとって本当にいいことなんでしょうか。。

先日のインスタライブ(毎月第2、第4金曜日20:00-20:30好評配信中)でもお伝えしましたが技術が進歩すると今までの常識が非常識になり、新たな心配事がどんどん出てきます。食べ物も大気汚染も水質汚染も温暖化もオゾン層の破壊も。場合によっては知らない方が幸せだった。。なんて事実も出てきます。

それは”今完璧”だと思った家づくりも”未来永劫完璧である”保証は無いということなので家づくりにあたってはしっかりと調べることも重要ですがあまり情報(特に各社が差別化を目論むフレーミング)に左右されず、相談してみて相性のいいハウスメーカー、工務店で家づくりをされるのが後々後悔のない家づくりの基本だと思います。

今週は本題の前に出だしで行数が多くなってしまいましたが、お家は建てたい時が立て時、予算内で建つのがお客様にとっての良いお家というお話でした。

もどる
株式会社 高崎テクノ
〒370-0015
群馬県高崎市島野町314-5