今週末は新潟の実家で法事がありまして、仕事合間にコツコツと書いた記事を事前にアップさせてもらいます(新潟でのよもやま話はまた来週)。
今回は個人的にはFacebookなどで「食べてきました」と紹介している大好きな近所の焼肉屋さんから学ぶべき工務店の未来形について考察してみました。
そのお店は自宅から歩いて3分、焼肉をがっつり食べると1人前は結構な金額になるので、我が家ではここ一番のご馳走、ご褒美メシ(「○○祝い」「○○記念」)として行くことが多く、家を建てて今の場所に引越して以来なので20年以上通っています。
コロナ禍で飲食店が大変な時期で、あのお店が閉店などという話を聞くたび家族みんなが「あそこだけはなくならないで欲しいね」と話ていました。
今年は「下の子の学費をようやく払い終えた記念」として正月休みに今まで頑張った自分と家族へのご褒美として行くことに。
ところがお店も正月休みで開いておらず、翌週末に仕切り直し。
そもそもお店の開店時間とかよく知らなかったのですが家族全員もう口の中が焼肉になっているのでネットで調べてじゃ6時半頃出かけるかと、焼肉用(臭い、油、タレの飛散OK)の服に着替えるチームを置いて「先に行って席押さえとくわ」とてくてく歩いてのれんをくぐるとなんと満席( ゚Д゚)
いやーまいったな(焼肉なのでそれぞれのテーブルがひと通り食べ終わるまで空かないとなると長いな)と思う反面、みんながオープン待って来てるんだ~愛されてるな~これなら大丈夫だ~という全くおせっかいな安心感というか、得体のしれない気持ちになりました。
着替え組が合流して「待ってるんだ」「そうそう」と。
店内待ち用ベンチのとこにはなぜか水を張った片手鍋が乗ったストーブがおいてありすごく座りずらいです、がみんなストーブを避けて座ります。(なんでここに?はなく、お店のやり方を尊重。お店に自分を合わせていく感じ)
次々と入ってくるお客さんも「待ってるんですか?」「はい」キョロキョロとなんか順番待ち書くとこないかなーと探しますがありません。
「特に無いんですね」「そうみたいです」ちょこちょこと店内を忙しく動くお店の方々も我々を気にする様子もありません。
いいんです、私たちも満席で忙しいのはわかっていますから。
なんなら私たちを気にするぐらいならどんどんお肉を運んで早く食べ終わって欲しいぐらいの気持ちです。
がんばれ、おばさん達(敬意と愛情をこめて)。
金髪で顔中ピアスで20㎝ぐらいのヒールを履いた彼女を連れた若者も入って来ました。
見せの中を覗き込んで。。どうする?どうする?どうするんだ??と見ていると。。。黙って二人で立って待っています。
なんでここに鯉?なんでここにタヌキ?そして寝ころんだキュウリ?と突っ込みどころ満載なのですが誰も突っ込みません。
ありのままを受け入れています。
シュールな手書きのイラスト入りの注意書きも芸術に見えてきます。
そうなんです、このお店に来るお客さんはこのお店が好きで、お店のやり方を尊重して、むやみやたらな「こうあるべきだ論」を振りかざす人がいないので居心地が良いのです。
「ちょっとー」とか「おーい」とか「あのさー」とかいうお客さんがいないので家族で楽しく、美味しく食べることに集中できるのが最高です。
待ち時間でも「なんで待てないかね」とか「いいじゃんそんくらい」という感情を抱く必要がないというノンストレス。
コロナ禍で唯一変わったところと言えば換気のために窓を開けたことで店内の煙が少なくなりました。
以前は換気扇はバンバン回っているものの、給気がされないのでほぼ空気は動かず、人が増えると煙で首から上が見えないくらい煙が充満していました。
それでも逆に「いいねー、もう周り見えないじゃん、髪の毛まで焼肉臭だね♡」と、決して無煙ロースターにしろよという人はいません。
お気に入りの店なんですから。
駐車場に停めてあったベンツのオーナーさんなのでしょう、外国人の女性を数人連れて来ていらっしゃいますが「スミマセーン、ビールモヒトツオネガイシマース」と丁寧です。
お客さんみんなが自分の価値観を押し付けず、お店のルールを守り、尊重しています。
そうこうするうちに私たちが座って食べ始めた頃は各テーブルが入れ替わって第2クールです。
でも「美味しそうな臭い嗅ぎながら待ってたからお腹すいたねー」「余計においしく食べられるね」「食べよ食べよ」とコメントがポジティヴ。
好きなお店なので「長かったなー」「まったくねー」とはならないのです。
オーダーはメニューの印刷された紙にえんぴつで印をつけて渡すのですがハラミとかザブトンは書いてありません。
確かランチにはあったからあるんじゃない?と思い切って欄外に「ハラミ」「ザブトン」と書くとちゃんと出てきます。
いいんです、知っている人だけがオーダーすれば。
閉店間際にはパンチパーマで見るからにいかついお兄さんが入ってきて、気持ちいいぐらい注文して、私も初めて見るリアルまんが昔話盛りの大盛りごはんをバクバク食べてます。
おばさんが「ラストオーダーですけどいいですか?」と各テーブルを回ると、そのいかついお兄さんが小さい声でぼそっと「あのぉ。。ユッケジャンスープがまだなんすけど。。。」と「あらーごめんねー」。
オーダー忘れてても決してクレームにはなりません、いかついお兄さんもこのお店が大好きですから。
この年末年始はこれからの時代をどうやってウチのような小さな工務店がサバイバルしていけばいいのか、ずっと考えていたせいで色んなお店に入るたびに、そこのお店とそこに来るお客様の人間観察がクセになってしまいました。
ほぼ腹いっぱい焼肉を食べたところで締めのらーめんが運ばれてくると必ず写真に収めてFacebookで自慢したくなります。
別に誰にも頼まれていませんが、こんなに旨そうなラーメン食べてるのうらやましいだろ??な?な?と友人達に見せびらかしたくなります。
スープがきれいな黄金のらーめんと私は呼んでいます。
引越した時にこのお店を紹介してくれた友人からも「必ずらーめんは食べた方が良い」とイチオシのメニューでした。
その締めのらーめんには最初から胡椒が振られて出てきます、この味でどうぞと。
お客さんは余計なことをする必要はありません。
私も初心者の頃に「レンゲは。。。」と聞いたことがありますが「らーめん屋じゃないんで」と即答。
どんぶり持ってごくごくとスープをいただくのがここでは正しいのです。
お会計も初めて来た頃はそろばんでした。
それも5玉(どこで位が上がるのか謎)のそろばん。
それが今はレジで金額が見えます。
決して安くはないが、みんな笑顔でお腹いっぱい、旨かった、ごちそうさま、また来ようねとなる。
口には出しませんがコロナ禍に負けずにこれからも頑張って美味しい焼肉を食べさせてね、という気持ちも込めて現金手渡しでお支払い。
素晴らしい。
家族と旨い焼肉とらーめんを食べながらしみじみと思いました。
私たち工務店はこうでなくちゃいけないなと。
巷にあふれる「工務店はこうあるべき」「家づくりはこうあるべき」「接客はこうでなきゃ」「SNSはこうでなきゃ」に流されることなく、自分達が思う家づくりをコツコツと真面目に続けて、それを気に入ってくれたお客様とずっと長くお付き合いをする。
何が正しくて、こうあるべきだ、を超えた「だって好きなんだもん」で選ばれる工務店。
最高です。これに勝る強みは無いですよね。
「なんで高崎テクノで家を建てたの?」
「だって好きなんだもん」
と言われるように日々精進してまいります。
今週はただ焼肉食べてるようで実はいろいろと学んで考えています(?)というお話でした。
※ファンとしては好きな人だけに来て欲しい(合わないのにわざわざ来て「違うな」と言うのを聞きたくない)のであまり宣伝しませんが油でべっとべとのお店「雷門」最高です↓